校長挨拶

 令和4年度は、58人の新入生が入学し、児童数348人でスタートしました。

 今年度も学園の小中学校教育目標を「こころざしをもち、共によりよく生き抜くたくましい子」とし、学園で目指す6つの子ども像のうち、特に「自ら求めて学び続ける子」「自分の良さを発揮する子」の実現のために、全教職員が一致協力して、教育活動を進めてまいります。  

 子どもたちの学校生活だけでなく、私たちの生活をも一変させた新型コロナウイルス感染症は、変異を繰り返しながら依然日常生活に多大な影響を与えています。また、2月下旬に始まったロシアのウクライナ侵攻は世界中に不安と恐怖をもたらし、ウクライナの人々が置かれている状況を思えば思うほど、胸が締め付けられる心苦しさを感じます。

 この2つの世界的な出来事だけを見ても、変化の激しい、予測不可能な、不確かな時代に突入していると言わざるを得ません。これからの日本や世界はどうなっていくのだろうと考えた時、明るい未来を想像できる大人は果たしてどれくらいいるのでしょうか。

 そんな時代であっても、私は子どもたちには明るい未来を思い描いてほしいと強く願っています。私は、子供たち一人一人の可能性を信じています。どの子も、「よりよくなりたい」「成長したい」という願いをもっています。そして、どの子も「人の役に立ちたい」「社会のために役立ちたい」そんな尊い前向きな気持ちをもっています。未来の担い手である子供たちの可能性を引き出し、自己実現への環境を整えていくことが私たちの使命だと考えています。

 本校では、令和4年度の重点目標を「自分も 相手も 大切にする子」の育成としました。自分も相手も大切にしていないがために、悲しいことや残念なことが私たちの身の回りではたくさん起こっています。その最たるものが戦争です。逆に言えば、だれもが「自分も相手も大切にする」ことができれば、もっと素晴らしい世界がつくられていくのだと思います。子どもたちは、未来の社会の担い手です。そのことを念頭において、教育活動を展開しております。

 年度のスタートにあたり、子どもたちには「相手を大切にする子」というのは、相手(他の人)の気持ちを考えられる子、相手(他の人)の話や気持ちをきちんと聞くことができる子ではないかと話しました。

 そして、「自分を大切にする子」とは、自分の心の声、自分の内にある気持ちや考えをきちんと聞くことができる子、そして、それを適切に相手(他の人)に伝えられる子ではないかと伝えました。行動にまで表れたら理想的です。

 子どもたちの中には、周囲の目を気にするがあまり、自分の本心とは違う言動をとってしまう子もいます。極端な例ですが、いじめの加害者の中にも「本当はいじめなんてしたくなかったんだけど・・・。」という気持ちの子どもがいることがあります。自分はどうしたいのか、どうすべきなのか、自分の心の声を聞かずに行動してしまう、あるいは、その自己への問いかけもせず何の行動もせず・・というのは、非常に残念でもったいないことです。

 「自分も相手も大切にする」、簡単そうに見えて実はなかなか難しいことなのかもしれません。だからこそ、この一年をかけて、子どもたちと全職員とで一緒に考えながら、チャレンジしていきたいと思います。授業でも、行事でも、日常生活の中でも、自分も相手も大切にしている子どもたちの姿がたくさん見られるよう取り組んでまいります。

 本校には、学校のために様々なボランティアをしてくださる地域の皆さんが大勢いらっしゃいます。保護者の皆様と地域の皆様のお力添えをいただきながら、本校の児童が真に自分も相手も大切にする子に成長していけるよう全力を尽くしてまいります。

 本年度も学校教育への御理解と御協力をよろしくお願いいたします。 

             浅羽東小学校    校長  田中 慎